第29章 祐衣、助けて

「宮本社長? もう遅いですし、井上颯人に隠れて抜け出してきたんです。そろそろおいとましてもよろしいでしょうか」

福田祐衣は慎重に問いかけた。

宮本陽叶はようやく我に返り、漫然と頷いた。

「今夜のことは感謝するよ、福田さん」

「この借りは必ず返す。だが、君の夫に関しては……」

宮本陽叶は顔を上げ、福田祐衣の瞳を真っ直ぐに見据えた。

「そう運良くはいかないだろうな」

福田祐衣は唇を引き結んだ。

彼女は宮本陽叶の視線を避け、早口に小声で言った。

「今回の件は確かに颯人の過ちです。宮本社長が相応の落とし前をつけさせるおつもりなら、私には止める言葉もありません」

「宮本社長、失礼し...

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